

都内のランニング・ウォーキングコースを紹介する本企画。今回は気持ちだけでも〝遠く〟に行ってみたいと思います。飛行機を眺めながら、多摩川沿いを進んでみましょう!
スタートは京急線の六郷土手駅です。あまりなじみのない駅かもしれませんが、品川から最速11分ほどで到着します。駅名の通り、すぐに土手がありますが、その前に六郷橋の上まで行ってみましょう。この橋を渡れば神奈川県です。
箱根駅伝を観戦している方ならよく知っているはず。六郷橋は1区と10区のコースに含まれており、特に1区では六郷橋の起伏が勝負のポイントになっています。学生ランナーたちが真剣勝負を繰り広げるシーンをイメージするとワクワクした気持ちになりませんか?
多摩川の堤防に出たら、下流の方へ進んでいきます。このあたりは海から5㎞ちょっと。空を広く感じることができて、土日は野球少年の練習風景が見られます。そして前方の空をよ~く眺めると飛行機がバンバン飛んでいます。羽田空港が近くにあるからです。ではもっと近づいていきましょう。
ほどなくすると右手に古城のようなフォルムを持つ六郷水門があります。昭和6年(1931)に完成して、90年以上経った今も現役です。高速大師橋の手前には多摩川渡し跡(羽田の渡し)があり、こちらも歴史を感じさせますね。羽田と川崎の渡しは、穴守稲荷と川崎大師参詣の要路。鷹狩りに来た徳川家康も渡ったと伝えられており、大師橋が開通する昭和14年(1939)まで利用されていました。
辨天橋を渡れば、真っ赤な平和の大鳥居が迎えてくれます。正式名称は旧穴守稲荷神社大鳥居。多摩川と青い空を眺めながら、世界平和への愛の鈴を鳴らしてみましょう。
その後は整備された綺麗な道が続き、多摩川スカイブリッジの手前を左に曲がります。ここまで来ると、空の飛行機もかなり大きく見えます。
そしてゴールは国際線のある羽田空港第3ターミナル。外国人利用者も多く、江戸の街並みが再現されたエリアもあり、異世界な雰囲気があります。話題のおにぎり店など飲食店も充実。テイクアウトもできるので、展望デッキで飛び立つ飛行機を眺めながら、グルメを楽しんではいかがでしょうか。〝旅気分〟がさらに味わえますよ。今回は約6㎞のコースでした。

六郷土手駅

多摩川六郷橋緑地野球場

六郷橋
大田区東六郷と神奈川県川崎市川崎区本町との境の多摩川、国道15号(第一京浜国道)に架かる橋長443.7m、幅員34.4mの橋。現在の橋は六郷橋の拡幅のために架け替えられたもので、第3期の工事が平成9年(1997)に完了した。


整備された道

六郷水門
昭和6年(1931)竣工。下水道が普及するまで六郷用水の末流や六郷、池上、矢口、羽田の一部地域の生活用水の排水を処理していた。


多摩川渡し跡(羽田の渡し)

辨天橋

旧穴守稲荷神社大鳥居
穴守稲荷神社が羽田穴守町にあった昭和初期に参道に建立されたと伝えられている大鳥居。国と空港関係者の協力のもと、平成11年(1999)に現在の場所に移築された。

多摩川スカイブリッジ

羽田空港第3ターミナル
羽田空港には、3つのターミナルがあり、国際線が発着する第3ターミナルには約40の航空会社が就航している。5階建ての建物には、到着・出発ロビーのほかショップやレストランも充実しており、展望デッキからは航空機の離着陸を間近に見ることできる。
展望デッキ開放時間
■第1・第2ターミナル:6時30分~22時00分 ■第3ターミナル:24時間
天候や保安上の理由により閉鎖する場合がございます。
当日の状況は羽田空港ターミナルインフォメーションまでお問い合わせください。
03-5757-8111


酒井政人(さかい・まさと)
スポーツライター。1977年、愛知県生まれ。東京農業大学1年時に箱根駅伝10区出場。その経験を生かして、現在は『Number WEB』『PRESIDENT Online』など様々なメディアに寄稿中。またランニングクラブも主催している。著書に『箱根駅伝は誰のものか』(平凡社新書)、『ナイキシューズ革命 “厚底”が世界にかけた魔法』(ポプラ社)など。
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